2012-12-01から1ヶ月間の記事一覧

社会保障政策 全世代で応分の負担が必要だ

◆活力回復へ少子化に歯止めを◆ 急速な少子高齢化で、年金、医療、介護など社会保障制度の維持に黄信号がともっている。 将来への不安から、消費を控えて貯蓄に回そうとする心理が、景気低迷にもつながっている。安倍内閣は、社会保障制度に対する信頼の回復…

災害支援―人材バンクをつくろう

のべ116万人。 東日本大震災でボランティアに赴いた人の数である。これは各地の窓口をへた人だけで、実際にはもっといる。 がれきを運ぶような力仕事だけではない。産業復興や情報発信。ノウハウのいる分野で活躍する長期ボランティアも多い。 いつどこを…

警察不祥事―外部の力かりて再生を

金をもらって暴力団関係者に捜査情報をもらす。署長が部下の窃盗をかくす。強盗強姦(ごうかん)事件の証拠をでっちあげる……。 いまや警察官の犯罪は珍しくない。残念なことに、そう思わせるこの1年だった。 際だつのは富山県警の54歳の警部補が逮捕され…

教育政策 高校無償化の見直しは妥当だ

安倍首相が改革に意欲を見せる教育分野で、早くも独自のカラーを出したということだろう。 民主党政権が結論を先送りしてきた朝鮮学校に対する高校授業料の無償化適用について、安倍政権が適用を見送る方針を決定した。 その理由として、下村文部科学相は、…

2012回顧・世界 国際舞台の役者が出そろった

2012年は、主要国で大統領選や指導部交代が相次いだ。 読売新聞の読者が選んだ「海外10大ニュース」にも、国際政治の大きな変化が読みとれる。 1位は、「米大統領選でオバマ氏が再選」だった。 多極化が進む世界とはいえ、経済力、軍事力で群を抜く米…

次官連絡会議 真の「政治主導」を確立したい

安倍政権が目指す「政治主導」の仕組みとルールが固まりつつある。 政治家と官僚が連携して、迅速に政策を決定、実行する体制を築かなければならない。そのためには、民主党政権で損なわれた政と官の関係修復が不可欠である。 安倍首相は、各府省の事務方ト…

2012回顧・日本 再生への希望が芽生えた年

明るい話題に、希望や勇気をもらった人が多かったのだろう。 読売新聞の読者が選ぶ今年の「日本10大ニュース」の1位は、「ノーベル生理学・医学賞に山中教授」だった。 「東京スカイツリーの開業」が2位、「ロンドン五輪、史上最多のメダル」が3位に入…

暴力団排除―福岡での無法を許すな

暴力団による発砲や住民への襲撃が続く福岡県で、とくに凶悪な三つの「特定暴力団」が指定された。全国で初めてだ。 これを暴力団を封ずる新しい手立てにし、警察は住民や企業を守らなくてはならない。 特定暴力団の制度は、暴力団対策法の改正で定められた…

安倍外交 日米「基軸」で隣国関係改善を

◆同盟強化へ防衛指針を改定せよ◆ 3年余の民主党政権下で大きく後退した日本外交をどう立て直すのか。 安倍内閣が全力で取り組むべき重要課題だ。 安倍首相は来月中にも米国を訪問し、オバマ大統領と会談する。日米同盟の強化が、中国、韓国など近隣国との関…

安倍内閣発足―再登板への期待と不安

2度目の安倍晋三内閣が船出した。 混迷続きだった民主党政権の3年余をへて、日本の政治に安定を取り戻せるか。 突然の政権投げ出しから5年。挫折のなかから首相に再登板した安倍氏は、自民党への「政権再交代」を支持した民意に今度こそ応えられるのか。 …

自公連立合意 TPP先送りなら国益損ねる

国益を本当に重視するなら、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する決断を先送りしてはなるまい。 自民党の安倍総裁と公明党の山口代表が会談し、景気・経済対策、外交安保など8項目の連立政権合意書に署名した。 合意書は、「自由貿易をこれまで以…

海江田民主代表 抵抗だけの野党には戻るな

民主党代表選で、海江田万里元経済産業相が馬淵澄夫元国土交通相との一騎打ちを制した。 新代表として、衆院選で惨敗した党を立て直す重責を担う。 反対するだけの野党に戻ってはなるまい。政権を担当した経験を踏まえ、国益に資する政策については、自民、…

健保財政悪化 医療費負担の世代格差是正を

サラリーマンが加入する健康保険の財政が悪化し、保険料の上昇を招いている。高齢者医療への巨額の支出が原因だ。これ以上重い負担を現役世代に求めるのは避けるべきだ。 65歳以上の高齢者の医療費は、高齢者自身の保険料や窓口負担のほか、公費と健保組合…

格安航空会社 安全と信頼が飛躍につながる

今年相次いで運航を開始した国内の格安航空会社(LCC)が、存在感を増しつつある。 飛行機に乗ったことのない客層も掘り起こし、「LCC」は2012年の流行語大賞の一つに選ばれた。 LCCの進展は、高コスト体質の航空業界に効率化を促し、旅行需要…

原発・エネルギー政策―「変わった」自民を見せよ

「原発ゼロは無責任」と主張する自民党の安倍総裁が、まもなく首相に就任する。 自民党は連立に向けた政策協議で、「可能な限り速やかにゼロ」とする公明党に配慮し、原発依存度を下げることで合意した。しかし、安倍氏が新増設に含みをもたせるなど、真意は…

衆院小選挙区制 得票と議席の差が開き過ぎる

国民の代表をどう選ぶべきか。 今回の衆院選の結果を踏まえて、選挙制度を根本から見直す必要があろう。 自民、公明両党は連立政権協議で衆院選挙制度に関し、定数削減を含む抜本改革を検討することで一致した。両党と民主党による合意に基づくもので、通常…

「普天間」評価書 政権交代を機に移設を進めよ

自民、公明両党は政権交代を機に、停滞している米軍普天間飛行場の移設問題の前進に全力を挙げるべきである。 防衛省が、普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古沿岸部への移設に向けた環境影響評価書の補正作業を完了し、沖縄県に提出した。 評価書の補正は仲井…

安倍外交―中韓との修復の転機に

自民党の安倍総裁が、韓国との関係修復に動き出した。 額賀福志郎元財務相を特使として派遣し、次期大統領に決まった朴槿恵(パククネ)氏への親書を託す意向を表明した。 さらに、自民党の衆院選政策集では、2月22日を「竹島の日」として祝う政府主催の…

米乱射事件―銃の危険を直視せよ

米国でようやく、銃規制をめぐる議論が動き出した。米コネティカット州の小学校で起きた乱射事件がきっかけだ。 6〜7歳の子ども20人をふくむ26人が命を失った。銃社会の米国に大きな衝撃を広げた。 7月にもコロラド州で、70人が死傷する乱射事件が…

原発と活断層―科学者の仕事つらぬけ

青森県にある東北電力東通(ひがしどおり)原発の敷地内にある断層について原子力規制委員会は「活断層の可能性が高い」と判断した。 全員一致の見方だという。 同じ地層を見ながら、なぜ原発建設前やその後の調査で確認できなかったのだろうか。 これまでの…

日本郵政―このまま上場は心配だ

日本郵政のトップ人事が波紋を広げている。 斎藤次郎社長が任期半ばで退任し、坂篤郎副社長が昇格した。旧大蔵省(現財務省)の元「大物次官」から、同じ役所の後輩への交代である。 元民主党代表の小沢一郎氏に近い斎藤氏は、自民党との関係がよくない。第…

物価目標検討 政府・日銀はデフレ脱却急げ

政権交代を機に、政府と日銀がデフレからの脱却に向けて連携を強める第一歩である。 日銀が20日、「物価目標」の導入を検討する方針を打ち出した。 日銀の白川方明総裁は記者会見で、「自民党の安倍総裁から物価目標について要請された。これを踏まえて検…

女性大統領誕生 未来見据えた日韓関係構築を

韓国初の女性大統領の誕生である。経済の再生や、日韓関係の再構築などで指導力を発揮して、新しい時代を切り開いてもらいたい。 韓国大統領選で、与党セヌリ党の朴槿恵氏が最大野党・民主統合党の文在寅氏との接戦を制し、当選した。 選挙戦の最大の争点は…

政府と日銀―金融緩和は魔法の杖か

次期政権を担う安倍自民党総裁が、日銀に大胆な金融緩和を迫っている。 日銀の白川方明総裁との会談で、政府と協定を結び、2%のインフレ目標を設けるよう求めた。日銀も来月には協定を結べるよう検討に入ったという。 実勢から外れた高すぎるインフレ目標…

一票の格差―「解消済み」は考え違い

国会議員が真剣にとり組まねばならない課題がある。 一票の格差の解消だ。 「それは前の国会で処理済みだ」。そう考える議員がいたら認識が甘いというほかない。 たしかに「衆院小選挙区の議員定数の0増5減」と「参院選挙区の4増4減」が、衆院解散の前に…

自公連立協議 現実的な原発政策を掲げよ

連立政権を組む以上、閣内不一致に陥らないように、重要政策について極力すり合わせておくのは、当然である。 自民党の安倍総裁と公明党の山口代表が会談し、第2次安倍内閣の発足に向けた政策協議を開始した。当面の経済対策として、大型の今年度補正予算を…

猪瀬都政始動 東京の難題をどう解決する

東京都知事選で圧勝した猪瀬直樹氏が知事に就任した。山積する課題に取り組み、着実に成果を上げてもらいたい。 都民は副知事として石原慎太郎前知事を支え、都政継続を唱えた猪瀬氏を信任した。 434万という得票は日本の選挙で個人が集めた最多記録だ。…

惨敗民主党―「責任野党」の姿見せよ

政権を担うということが、いかに難しく、厳しいものか。 総選挙で衝撃的な惨敗を喫した民主党は、そのことを身をもって学んだに違いない。 衆院に小選挙区比例代表並立制が導入されて18年。6度目の総選挙の結果は、想定されていた二大政党制の姿とはほど…

維新の会―政策の基本軸を明確に

既成政党ではなく、新しい勢力が閉塞(へいそく)状況に風穴を開けてほしい。そんな期待の受け皿にもなったのだろう。日本維新の会が54議席を獲得し、民主と並ぶ勢力に浮上した。 国政の一端を担うことになった以上、その責任は重い。維新が抱える課題を見…

自民大勝、安倍政権へ―地に足のついた政治を

またしても、小選挙区制のすさまじいまでの破壊力である。 総選挙は、自民、公明両党が参院で否決された法案を再可決できる320議席を確保する大勝となった。自民党の安倍総裁を首相に、3年ぶりに政権に返り咲く。 かたや民主党は衝撃的な大敗を喫した。…