2012回顧・世界 国際舞台の役者が出そろった

 2012年は、主要国で大統領選や指導部交代が相次いだ。

 読売新聞の読者が選んだ「海外10大ニュース」にも、国際政治の大きな変化が読みとれる。

 1位は、「米大統領選でオバマ氏が再選」だった。

 多極化が進む世界とはいえ、経済力、軍事力で群を抜く米国は、依然として最も影響力がある超大国だ。民主党オバマ大統領と共和党ロムニー候補の論戦は、世界中が注目した。

 オバマ政権の最優先課題は、景気対策財政再建の両立である。1期目で打ち出したアジア重視の外交戦略は、今後の日米関係を方向づけるだろう。

 2位は、中国共産党のトップ交代だ。総書記に習近平氏が選出された。中国指導部への関心がかつてなく強いのは、尖閣諸島をめぐり、中国が日本に露骨な圧力を加えているからにほかならない。

 日本の尖閣諸島国有化に抗議するデモが暴徒化し、日本企業に大きな損害を与えるなど、国交樹立40周年の日中関係に明るいニュースは乏しかった。

 ロシアではプーチン首相が大統領の座に返り咲いた(6位)。アジアとの経済関係を強化し、国力向上を図ろうとしている。

 年末の韓国大統領選(20位)で、朴槿恵氏が当選した。初の女性大統領と安倍首相が、日韓関係をどう改善するかを注視したい。

 「指導者選び」の重圧を経た各国首脳には来年、内向きな発想を脱して諸課題に取り組み、国際協調を深めてもらいたい。

 北朝鮮では、昨年死去した金正日総書記の後継として三男正恩氏が、朝鮮労働党第1書記に就任した(3位)。3代世襲の新体制を固めるように、4月と12月にミサイル発射を強行した。

 北朝鮮が、国際的孤立を深めているのは大きな懸念材料だ。

 ミャンマーは対照的に、テイン・セイン大統領が民主化を進め、国際社会との関係を修復した。野党指導者アウン・サン・スー・チー氏が議会補選で当選した(5位)のは象徴的だ。

 欧州では、英エリザベス女王の即位60年の祝賀行事(4位)という明るい話題の一方で、財政・金融危機が長期化し、スペインがユーロ圏に金融支援を要請した(10位)。欧州経済の動向は来年も目が離せない。

 シリアでは、アサド政権と反体制派の間の内戦が泥沼化した(8位)。「アラブの春」のうねりはなおも中東を揺るがしている。