2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

核燃料サイクル プルトニウムの確実な利用を

福井県の関西電力高浜原子力発電所3号機で使うウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料がフランスから海路、日本に向かっている。6月にも到着する。 東京電力福島第一原発の事故後、初めての輸送だ。 日本は、エネルギー政策の一環として、核燃料サ…

ハーグ条約 子供のために体制作り急げ

国際結婚が破綻し、配偶者が一方的に子供を国外に連れ去ったら、どう対処するか。そのルールを定めた条約にようやく日本も参加する。国内の体制整備を急ぎたい。 ハーグ条約の承認案が衆院で全会一致で可決された。参院でも可決が確実で、事実上、条約加盟が…

主権回復の日 国際社会復帰の重み忘れまい

日本が、サンフランシスコ講和条約の発効によって戦後の占領支配から解放されたのは、1952年4月28日だ。国際社会の責任ある一員になると誓った意義深い日である。 政府は61年後のこの日、主権回復と国際社会復帰を記念する式典を憲政記念館で開いた…

参院山口補選 安倍政権の勢い映した前哨戦

発足から4か月を経た安倍政権の勢いを、そのまま反映したかのような結果である。 第2次安倍内閣の発足後、初の国政選挙となった参院山口選挙区補欠選挙は、自民党公認の新人、江島潔氏が民主党などの推薦で元法相の新人、平岡秀夫氏らを大差で破った。 山…

中国の尖閣発言 「核心的利益」とはお門違いだ

沖縄県・尖閣諸島周辺の緊張を高める危険な言動を、中国の習近平政権は厳に慎むべきだ。 中国外務省報道官が記者会見で、尖閣諸島について「中国の領土主権に関わる問題で、当然、中国の核心的利益だ」と述べた。尖閣諸島が「核心的利益」の対象だと当局者が…

再生医療推進法 産学官の連携強化を図りたい

病気やけがで傷ついた臓器を復元する再生医療の研究成果は、いち早く治療に役立てたい。新法は、そうした体制を整備する第一歩だ。 再生医療推進法が参院本会議で全会一致により可決、成立した。iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使った治療を実用化する…

節電目標見送り それでも電力不足は深刻だ

政府は今夏、企業や家庭に対し、数値目標を掲げた節電要請を見送る方針を決めた。 8月が猛暑でも、電力需要ピーク時に、供給余力が全国平均で約6%、最も厳しい関西電力管内も3%を確保できる見通しのためだ。 昨夏は7電力管内で5〜15%の節電目標を…

体罰緊急調査 再発防止へ問題意識高めよ

体罰が教育現場に根強く存在する実態が裏付けられたと言えよう。 文部科学省が、大阪市立桜宮高校の体罰自殺問題を受け、全国の公立小中高校などを対象に実施した緊急調査の結果を公表した。 調査結果によると、昨年4月から今年1月にかけて、体罰があった…

非核化拒む「北」 警戒も制裁も緩めてはならぬ

「核保有国」の既成事実化を図ろうとする北朝鮮の姿勢が、ますます鮮明になってきた。国際社会は、警戒も制裁も緩めるべきではない。 朝鮮人民軍創建81周年の大会で、玄永哲総参謀長が「精密化、小型化された核兵器と運搬手段」を量産すると表明した。 3…

B787再開へ 安全最優先で世界の空を飛べ

出火トラブルで運航を停止されていた最新鋭の米ボーイング787型機が再び、世界の空を飛ぶ見通しになった。 なにより最優先すべきは安全運航だ。揺らいだ信頼を取り戻す必要がある。 米航空当局は運航停止命令を解除し、国土交通省も同様に解除する。これ…

尖閣諸島 海も空も中国への警戒強めよ

中国の危険な挑発に対し、海空両面での警戒監視活動を強化する必要性が一段と高まった。 沖縄県・尖閣諸島沖の領海に23日、中国の海洋監視船8隻が相次いで侵入し、約12時間も航行を続けた。昨年9月の尖閣諸島国有化以来、中国公船の領海侵犯は40件、…

危険運転厳罰化 重大事故の撲滅につなげたい

飲酒や無免許など悪質運転による重大事故が後を絶たない。厳罰化を事故抑止につなげたい。 政府は無謀運転の罰則を強化する法案を国会に提出した。危険運転致死傷罪などを刑法から抜き出し、独立した法律にするものだ。 法案の柱は、“準危険運転罪”と言える…

閣僚の靖国参拝 外交問題化は避けるべきだ

日本政府には予想外の反応だった、ということではないか。 韓国の尹炳世外相が、26、27日に予定されていた日本訪問を中止した。麻生副総理ら閣僚3人の靖国神社参拝に対し、「侵略戦争の美化」と反発したためだ。 尹外相の来日は、5月下旬の日中韓首脳…

待機児童解消 「横浜方式」をどう生かすか

「女性の活躍」を成長戦略の中核に位置づける安倍首相は、スピード感のある施策が必要と判断したのだろう。 首相が、保育のニーズがピークを迎える2017年度までに「待機児童ゼロ」を目指す方針を明らかにした。従来の計画を2年前倒しして、40万人分の…

社会保障会議 「節度ある医療」へ議論深めよ

超高齢社会を迎える中で、急増する医療・介護費用の伸びを抑え、信頼される社会保障制度を築くことが急務である。 その方策を議論している政府の社会保障制度改革国民会議が、医療・介護について改革の論点をまとめた。 限りある医療の設備や人材について「…

観光立国推進 もっと高めたい日本ブランド

外国からの来訪客を増やし、経済成長につなげる。観光立国ニッポンの実現へ、官民一体の取り組みが不可欠だ。 政府が観光立国の推進に力を入れている。安倍首相を議長とする閣僚会議を発足させた。省庁横断で総合的な観光政策を検討し、夏までに行動計画を策…

中国国防白書 危険過ぎる習政権の強軍路線

中国の習近平政権が、「強軍路線」を推進していく姿勢を改めて強調した。核となるのは「海洋強国化」である。 中国は2年ぶりの国防白書で、「海洋強国の建設は国家の重要な発展戦略であり、断固として海洋権益を守ることが軍の重要な職責だ」と明記した。海…

コンビニの隆盛 地域と共存目指す成長戦略を

安倍政権が掲げる経済政策「アベノミクス」を追い風に、景気回復への期待が高まっている。 コンビニエンスストア業界も新たな消費を掘り起こし、日本経済の活性化につなげてもらいたい。 セブン―イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートの大手3社は…

G20共同声明 円安だけに頼れぬデフレ脱却

日本の大規模な金融緩和策は円安誘導ではないとして、先進国と新興国の理解を得られたことは前進である。 デフレ克服と着実な日本経済再生へ、政府と日銀は一段と重い責任を負った。 日米欧と中国、ロシアなど主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行…

尼崎事件検証 「民事不介入」の意識を改めよ

警察による「不作為の連鎖」がなければ、最悪の事態を防ぐことができた。そう思うほかない、ずさんな対応である。 兵庫県尼崎市の連続変死事件で、香川県警は、親族4人が死亡した高松市の一家への対応が不適切だったとする検証結果をまとめた。 事件の主犯…

邦人陸送法案 自衛隊の活動拡充を着実に

様々な緊急事態を想定し、その対応に必要な自衛隊の活動の法的枠組みを整えておくことは危機管理の要諦である。 政府が、在留邦人らの陸上輸送を可能にする自衛隊法改正案を国会に提出した。 現行法は、自衛隊による海外での邦人輸送の手段として、航空機や…

就活期間短縮 「抜け駆け」で骨抜きにするな

大学生が学業に専念する環境作りが、優秀な人材の育成につながる。就職活動の期間短縮は妥当な措置と言えよう。 大学生の就活を解禁する時期が、「3年生の12月」から「3年生の3月」へ繰り下げられる。面接などの選考開始も、4か月遅い4年生の8月にな…

ネット選挙へ 「悪意」の発信をどう防ぐか

日本でもようやくインターネットを利用した選挙運動が解禁される。若者に政治参加を促す効果が期待できよう。 公職選挙法改正案が参院の特別委員会で全会一致で可決された。きょう成立し、夏の参院選から適用される。 法案は、ホームページやブログのほか、…

スー・チー来日 官民連携で国造りを支えたい

ミャンマーの最大野党である国民民主連盟(NLD)の党首アウン・サン・スー・チー氏が日本政府の招きで来日し、安倍首相や岸田外相らと相次いで会談した。 スー・チー氏の来日は、民主化運動に身を投じる前の1980年代半ば、京大客員研究員として滞在し…

党首討論 手詰まり感漂う海江田民主党

株価の急上昇と高い支持率で余裕すら感じられた安倍首相と対照的に、民主党の海江田代表の追及は迫力を欠いた。 これでは国会論戦に緊張感は生まれまい。 第2次安倍内閣で初めての党首討論が行われた。 海江田氏は、経済政策「アベノミクス」による大規模な…

ボストン・テロ 市街地イベント警備の点検を

日本人にもなじみの深い伝統ある米国のボストンマラソンを狙った無差別テロだ。多数の人々を死傷させた卑劣な凶悪犯罪は断じて許せない。 スタートから約4時間後、ランナーが続々到着するゴール近くの沿道で2発の爆弾が連続して炸裂した。8歳の少年ら少な…

憲法96条改正 首相は参院選へ議論主導せよ

現憲法は制定以来一度も改正されていない。 安倍首相は憲法改正のハードルを下げることを有権者に問おうとしている。日本と国際社会の変化に対応できる憲法にするための積極的な姿勢は評価できる。 首相は読売新聞のインタビューで、改正の発議要件を定めた…

水俣病認定判決 争いの終結はなお見えない

国の基準では水俣病と認められなかった被害者について、最高裁は「水俣病患者」と認める判断を示した。 行政と司法で認定の尺度が異なる二重基準の状態が続くことになるだろう。被害者の高齢化が進む中、水俣病を巡る争いに収束の糸口が見えない深刻な事態で…

ケリー長官来日 対中朝で日米連携を強化せよ

北朝鮮の瀬戸際戦術や中国の威圧的な外交に効果的に対応するには、日米両国が連携を一段と強化することが重要だ。 ケリー米国務長官が来日し、安倍首相、岸田外相と個別に会談した。北朝鮮に弾道ミサイルの発射の自制を求めるとともに、北朝鮮の核保有を容認…

教育委員会改革 機能の立て直しをどう図るか

安倍首相直属の教育再生実行会議が、教育委員会制度の抜本的な改革を求める第2次提言をまとめ、首相に提出した。 提言は、自治体の首長が議会の同意を得て任命する教育長を、教育行政の責任者として明確に位置づけた。首長には教育長の罷免権も付与した。 …