ボストン・テロ 市街地イベント警備の点検を

 日本人にもなじみの深い伝統ある米国のボストンマラソンを狙った無差別テロだ。多数の人々を死傷させた卑劣な凶悪犯罪は断じて許せない。

 スタートから約4時間後、ランナーが続々到着するゴール近くの沿道で2発の爆弾が連続して炸裂した。8歳の少年ら少なくとも3人が死亡、170人以上が重軽傷を負う惨事となった。

 レースには、200人を超す日本人ランナーら約2万3000人が参加し、家族や友人、市民ら大勢の人々が応援していた。

 オバマ米大統領は、「罪のない市民を標的にしたテロ行為だ」と非難し、犯人の逮捕と全容解明に全力を挙げる決意を表明した。

 米国では、2001年9月11日の同時テロ事件後、初めての爆破テロの発生だ。

 米国は同時テロ後、テロ対策の強化を最優先し、多くの事件を未然に防いできた。同時テロの首謀者も潜伏先を突き止め、殺害した。それだけに衝撃は大きい。

 テロがなお、現実の脅威として身近に存在していることを痛感させられたからだ。

 テロ組織による犯行なのか、単独犯なのか、犯人像は明らかになっていない。米当局は、物証や情報を手がかりに徹底的な捜査を行ってもらいたい。

 連邦捜査局FBI)は、圧力鍋の中に爆薬を詰めた仕掛け爆弾が使用され、黒いナイロン製バックパックに入れられていたとの見方を強めている。

 同種の爆弾は、アフガニスタンやインド、パキスタンなどでテロ攻撃によく使われている。製造方法は簡単でも、クギなどの金属を混入するため殺傷力は高い。

 ボストンマラソンでは警備に万全を期していたとされる。だが、屋外の市街地イベントでは、手荷物検査や金属探知機での取り締まりを徹底するのは難しい。その警備態勢の脆弱ぜいじゃくさが突かれた。

 今回のテロは、大規模市民マラソンが定着した日本にとっても人ごとではない。2月の東京マラソンは、3万7000人が走る巨大イベントだった。沿道には170万人が詰めかけた。

 日本でも、マラソンに限らず大型イベントの警備でテロに特化した対策を講じる必要があろう。

 安倍首相は、「警察が重要施設の警戒警備や、人が多数集まる場所の警備対策の徹底にあたっている」と、安全の確保に最善を尽くす方針を示した。

 保安検査が厳しくなっても、テロ防止への協力は欠かせない。