真剣 - 柳原鉄太郎 -

思うような成果があがらなかったり、いい智恵やアイデアが浮かばなかったりすると、お互いともすれば、じっくり取り組む暇がないとか、自分には能力がない、などという。

確かに、忙しい日々の中で時間をつくるのは難しいし、素質や才能に左右されることもあるかもしれない。だが一方で、能力に恵まれ、時間も十分にありながら、なかなかうまくいかないという人も少なくない。

この違いはどこから生じるのか。経験の差や育った環境、運・不運など、さまざまなことが影響しているのだろう。しかし、結局はやはり、真剣さの度合いによるのではないか。

本当に真剣なら、多忙の中でも徹底的に考え、何か糸口を見つけようとするはずである。そうすれば、必ず打開の道が見つかるし、子供たちのたわいない会話からも、風の音や流れる雲からも、何か新しいアイデアのヒントが得られるに違いない。あるいは、その姿に感じて、周りの人が進んで助言や協力をしてくれることだろう。

事がうまくいかないのを時間や能力のせいにする前に、どれだけ真剣に取り組み、考えぬいたかを今一度省みたい。