海江田民主代表 抵抗だけの野党には戻るな

 民主党代表選で、海江田万里経済産業相馬淵澄夫国土交通相との一騎打ちを制した。

 新代表として、衆院選で惨敗した党を立て直す重責を担う。

 反対するだけの野党に戻ってはなるまい。政権を担当した経験を踏まえ、国益に資する政策については、自民、公明両党に協力する姿勢が求められる。

 海江田氏は、代表選で党所属議員の6割超の票を獲得した。輿石幹事長や細野政調会長の支援を受け、支持が広がった。

 日本経済の再生を最重要課題に掲げる自民党の安倍総裁に対抗する上で、経済政策通の海江田氏の手腕が期待されたのだろう。

 民主党内の主流派だった野田首相や前原国家戦略相のグループへの反発も、海江田氏には有利に働いた。昨夏の代表選で海江田氏は、野田氏に対抗し、小沢一郎元代表らの支援を受けたからだ。

 その際、民主党政権公約マニフェスト)見直しに関する自公両党との合意を巡り、海江田氏は安易に立場を変えるなど、政策のブレが目立ち、リーダーとしての資質に疑問を持たれた。

 菅内閣経産相当時には、野党の国会質問に対して答えに窮し、涙を見せたこともある。

 こうした負のイメージを払拭するため、強い指導力を発揮できるかどうかが問われる。

 当面の国会対応では、民主党政権が自公両党と合意した社会保障と税の一体改革を着実に実行に移していくことが肝要だ。

 懸念されるのは、代表選で海江田氏の推薦人に、消費増税反対派の原口一博総務相らが名を連ねたことだ。衆院議員が激減したことで労組系議員が多い参院議員の発言力が増し、「党の労組依存体質が強まる」との見方もある。

 来年夏の参院選に向けて、海江田氏は記者会見で、他の野党との選挙協力が必要だと語った。

 新幹事長には「選挙の顔」となる細野氏を起用するほか、挙党態勢を築くため、幅広い人材を執行部入りさせる意向だ。党の結束を重視することは理解できるが、これまでのように政策や意思の決定が遅くなる可能性がある。

 衆院選と3年3か月に及んだ民主党政権を徹底的に総括することが欠かせない。

 自公新政権への対案を積極的に提示するとともに、憲法や安全保障などの基本政策で党内論議を深めるべきだ。党執行部が決めた方針に議員が従う政党文化を育てる必要もあろう。