警察不祥事―外部の力かりて再生を

 金をもらって暴力団関係者に捜査情報をもらす。署長が部下の窃盗をかくす。強盗強姦(ごうかん)事件の証拠をでっちあげる……。

 いまや警察官の犯罪は珍しくない。残念なことに、そう思わせるこの1年だった。

 際だつのは富山県警の54歳の警部補が逮捕された事件だ。2年前、知り合いの夫婦を殺し、証拠隠しに放火したという。

 警部補は消費者金融に200万円ほどの借金があり、捜査情報を知人にもらした疑いももたれている。

 平素は信頼が厚く、何度も幹部から表彰されていた。そんな警察官がなぜ凶行に走ったのか。上司らがこれまでの勤務の中で見落としていた予兆はなかったのか。徹底的に調べなくてはいけない。

 6月までの半年間で懲戒免職になった警察官は31人にのぼる。警察改革の始まった2000年以降では最悪のペースだ。

 警察改革は、警察を監督する国家公安委員会の指示で始まった。ストーカー殺人事件での埼玉県警の失態などを受けたものだ。「国民のための警察の確立」「警察行政の透明性の確保と自浄機能強化」を柱に再生に取り組んできたはずだった。

 だが、不祥事は後を絶たない。免職以外の懲戒も含めると警察官の処分は、年間300人前後と高止まりの状態が続いている。自浄機能が強まったとはとても言えない。改革が不十分なのは明らかだ。

 警察内部の力だけでは、再生はおぼつかない。この12年の足跡を見る限り、そう言わざるをえない。これを教訓に、今度は国家公安委に第三者機関を新たに設け、実効性のある改革をめざして知恵をしぼってもらったらどうだろう。

 公安委員会の監察機能の強化も検討すべきだ。ここでも弁護士ら外部の識者を加えた監察制度の導入を考えてもらいたい。

 もちろん、使命感にあふれ、仕事を地道に続ける警察官は多い。一線の警察官のモラルや使命感を高めるためにも、意欲のある者が報われる制度づくりが欠かせない。

 警察組織では、いわゆるキャリア組と都道府県での採用組の間で、昇進の早さや条件などで大きな差がある。これが警察組織の士気にマイナスとなっていないか。組織の根っこから洗い直す必要がある。

 社会の治安は、警察に頼るところが大きい。市民がそう期待しているからこそ、警察改革も真剣勝負でなくてはならない。来年こそ、立て直しの節目の年とすべきである。