惨敗民主党―「責任野党」の姿見せよ

 政権を担うということが、いかに難しく、厳しいものか。

 総選挙で衝撃的な惨敗を喫した民主党は、そのことを身をもって学んだに違いない。

 衆院小選挙区比例代表並立制が導入されて18年。6度目の総選挙の結果は、想定されていた二大政党制の姿とはほど遠い「自民党一人勝ち」の様相となった。

 それでも、野党第1党にふみとどまった民主党の役割はいぜん大きい。

 包括的な政策の体系と全国規模の組織をもち、政権がつまずけばいつでも交代する用意がある。そんな野党の存在が、民主主義には欠かせないからだ。

 落胆している暇はない。この3年間の教訓をふまえ、民主党はみずからの政策と組織を根本から鍛え直してほしい。

 振り返れば、あまりにも未熟だった。

 ことあるごとに党内で内紛が起き、分裂を繰り返す。「ムダの排除などで16.8兆円の新規財源を生み出す」などといった無責任なマニフェストがまかり通る。

 今回の惨敗は、そうした民主党政権に対する民意の「懲罰」の意味合いが濃い。

 一方で、将来世代への責任を果たそうとしたことが、少なくとも二つあった。

 消費増税をふくむ社会保障と税の一体改革と、「2030年代の原発ゼロ」である。

 09年総選挙で、民主党は「増税の前にやるべきことがある」として消費増税を否定した。

 それは、将来世代にツケを回すことにほかならない。それに気付いたからこその増税への転換だったのではないか。

 注目したいのは、今回の総選挙のマニフェストに「将来世代の声なき声に耳を傾ける」という理念を新たに掲げたことだ。

 来夏の参院選に向け、党をあげてこの理念を具体的な政策の体系にまとめてはどうか。

 所属議員は激減した。だがその分、一体感のある議論がしやすくなったとも言える。

 有権者の耳に痛い政策を、いかに説得力をもって打ち出すか。政権を担った経験をそこに生かしてほしい。

 もう一つ、求めたいのは建設的な「責任野党」の姿を今度こそ見せることだ。

 政権が行き過ぎるようなことがあれば、ブレーキ役を果たすのは当然のことだ。同時に、協力すべきは協力する。

 やられたらやり返す。そんな不毛な政治の混迷を乗り越えることは、民主党が政権に復帰したときに必ず生きる。