2013-01-01から1年間の記事一覧

オスプレイ訓練 沖縄の負担を軽減する一石に

沖縄県の過重な負担を日本全体で分かち合うことは大切だが、実現性には疑問符が付く。 日本維新の会の橋下共同代表(大阪市長)と松井幹事長(大阪府知事)が安倍首相と会談し、沖縄県に配備中の米軍新型輸送機MV22オスプレイの一部訓練を大阪・八尾空港…

中国・欧州摩擦 世界経済を損なう不公正貿易

貿易を巡る国際紛争が頻発している。不公正な貿易慣行は是正し、世界経済を活性化させることが重要である。 欧州連合(EU)は、中国企業が太陽光パネルを不当に安値で輸出しているとして、中国製パネルに2段階で反ダンピング(不当廉売)関税をかける仮決…

出生数過去最少 結婚・出産支援も強化したい

少子化対策がいかに急務か。それを改めて実感させる数字である。 厚生労働省が公表した2012年の人口動態統計によると、昨年、生まれた赤ちゃんは103万7000人で、統計を取り始めた1899年以降、最少だった。 人口の自然減は最多の21万900…

日仏首脳会談 互いに有益な原発・安保協力

安倍首相が、来日中のオランド仏大統領と会談した。両首脳は、原子力や安全保障分野など幅広い協力をうたった共同声明を発表した。 原子力発電については、原発の安全確立や放射性廃棄物の最終処分など包括的な協力に言及している。核燃料サイクル推進と、次…

自民地域版公約 普天間「県外移設」は二枚舌か

安倍首相の重い政治決断や党本部の方針と相いれない県連の政策を公約に掲げることは、政権党として無責任である。 自民党沖縄県連が、7月の参院選の地域版公約(ローカルマニフェスト)に米軍普天間飛行場の「県外移設を求める」と明記することを決めた。 …

消費増税転嫁法 「還元セール」の混乱を防げ

消費者や企業に混乱を招かぬよう、政府は消費税率を引き上げる準備に万全を期すべきだ。 2014年4月の消費増税に合わせ、増税分を商品価格に円滑に転嫁するための特別措置法が、与野党の修正を経て、参院で成立した。 特措法は、大企業が強い立場を利用…

パキスタン情勢 対米修復が地域の安定を導く

米国の対テロ戦争最前線のパキスタンで、政情不安が続くようでは、地域の安定は覚束かない。 5月の総選挙で勝利した最大野党の党首のナワズ・シャリフ元首相が、無所属議員を取り込んで議会過半数を制し、首相に選出された。 クーデターが繰り返されてきた…

成長戦略 民間活力の爆発で日本再生を

◆「3本目の矢」を的中させよ 企業の競争力を高め、世界に勝てる日本経済へ再生できるか。安倍政権の経済政策「アベノミクス」が、いよいよ真価を問われる。 政府の産業競争力会議が5日、アベノミクスの「3本目の矢」である成長戦略の素案をまとめた。これ…

憲法改正論議 公明党は現実路線で一歩前に

参院選を控え、与野党は、公約の策定などの準備を加速させている。 憲法改正問題を通じ、国家の基本に対する政党の姿勢が問われよう。 公明党は、参院選の公約として憲法改正に関しては、環境権など新たに必要な条文を憲法に加える「加憲」が、「最も現実的…

W杯出場決定 いざブラジルへ高まる期待

5大会連続でのワールドカップ(W杯)出場を喜びたい。 1年後の大舞台で選手たちは、どのようなプレーを見せてくれるのか。今から楽しみだ。 サッカーの2014年W杯ブラジル大会アジア最終予選で、日本はオーストラリアと引き分け、本大会出場の切符を…

限定正社員 制度導入への課題はなお多い

雇用を拡大し、成長分野に人材を振り向ける一助になるだろうか。 政府の規制改革会議は成長戦略の一環として、「限定正社員」の制度化を答申する方針だ。 限定正社員は、職務や勤務地、労働時間が限定されている。正社員と同様、福利厚生が受けられ、雇用期…

検察の懲戒請求 報道の自由が侵されかねない

取材協力者の萎縮を招きかねない。検察の対応は問題である。 裁判の証拠として開示された取り調べの録画映像をNHKに提供した弁護士について、大阪地検が大阪弁護士会に懲戒請求した。刑事訴訟法が禁じる証拠の目的外使用にあたるとの理由からだ。 この禁…

財政再建目標 達成と景気回復の両立を図れ

日本経済を再生し、安定した成長軌道に乗せるには、財政健全化が不可欠だ。政府は財政再建と景気回復の両立を図らねばならない。 政府の財政制度等審議会は報告書をまとめ、国と地方の基礎的財政収支を国内総生産(GDP)比で「2015年度に10年度から…

南スーダン支援 地元連携で効果的なPKOに

地元の住民と緊密に連携し、国連平和維持活動(PKO)の効果を高める戦略が重要である。 政府が、国連南スーダン派遣団(UNMISS)に参加している陸上自衛隊の施設部隊の活動地域を拡大することを決定した。 陸自部隊の約330人は昨年1月以降、中…

アフリカ会議 日本の顔見える支援拡大せよ

日本とアフリカの首脳級会合である「第5回アフリカ開発会議(TICAD5)」が1日、横浜市で開幕した。“成長大陸”アフリカと連携を強化する絶好の機会だ。 5年に1度の会合で、今回はアフリカ51か国が出席した。 安倍首相は、「互いに成長し合う仲間…

対「北」防衛協議 日韓関係改善の一歩にしたい

北朝鮮の軍事的挑発に効果的に対処するには、日米韓3か国の結束が欠かせない。情報を広く共有し、安全保障政策を緊密に調整して、部隊の抑止力を高めたい。 小野寺防衛相、ヘーゲル米国防長官、韓国の金寛鎮国防相がシンガポールで会談した。 国連決議に基…

李克強首相発言 歴史を無視した言いがかりだ

日本は、沖縄県・尖閣諸島を巡って身勝手な主張を展開する中国の宣伝戦に対する警戒を一段と強める必要がある。 習近平政権ナンバー2の李克強首相が5月26日、ドイツのポツダムで演説し、尖閣諸島を念頭に、「日本が盗み取った中国の領土は返還されねばな…

運動部活動 暴力に頼る指導は許されない

暴力に頼らず、生徒の能力を伸ばす指導を学校の運動部活動で徹底することが必要だ。 文部科学省の有識者会議が、運動部活動の指導指針をまとめた。大阪市立桜宮高校バスケットボール部の体罰自殺問題以降、特に部活動の体罰事例が相次いで発覚したためだ。 …

選挙制度論議 政治の安定へ衆参同時改革を

◆定数削減競争は大衆迎合だ 今国会会期末まで1か月を切ったのに、衆院選挙制度の抜本改革論議は行き詰まったままだ。 与野党に合意形成の機運がなく、実現はもはや困難な状況にある。 自民、公明両党が国会に提出した、衆院小選挙区定数の「0増5減」を実…

日印首脳会談 関係発展の柱となる原発協力

日印両国が一層関係を深めていくための重要な柱となろう。 安倍首相が、来日中のインドのシン首相と会談し、日印原子力協定の締結交渉再開で合意した。 年内妥結を目指す方針で、締結すれば、日本から原子力関連技術が輸出できるようになる。 交渉は、民主党…

成年被後見人 選挙権の迅速な回復は当然だ

精神疾患や知的障害で成年後見人を付けた人に選挙権を認める改正公職選挙法が成立した。 7月の参院選から、約13万6000人に投票の道が開かれることになった。多くの人が投票所に足を運び、1票を投じてほしい。 公選法は、判断能力に欠けるといった理…

南海トラフ地震 被害を減じる法整備が急務だ

死者が最大32万人と予想される「南海トラフ巨大地震」の被害をいかに抑えるか。対策を急がねばならない。 政府の中央防災会議の作業部会が、この巨大地震の「減災」対策を列挙した最終報告書をまとめた。 想定震源域の南海トラフは、静岡県沖から四国、九…

小学校の英語 楽しく学べる環境を整えたい

日本の国際競争力を高める上で、豊かな語学力と幅広い視野を備えた人材が求められている。政府は教育環境の整備を進めるべきだ。 安倍首相直属の教育再生実行会議が、海外で活躍できる人材の育成に向け、小学校から大学に至るまで、英語教育の拡充が必要だと…

波乱含みの株価 ひるまずアベノミクスを前に

安倍首相の進める経済政策「アベノミクス」を好感し、急上昇してきた株価が、一転して波乱含みになってきた。 マーケットの日々の変動に、一喜一憂すべきではない。政府と日銀は、アベノミクスを着実に推進し、明るさを増してきた景気の本格的な回復を急ぐべ…

放射能漏れ事故 安全意識を欠く研究者の対応

研究者の安全意識の薄さが気になる。 茨城県東海村にある素粒子研究の拠点施設「J―PARC」で、実験中に放射性物質が施設内外に漏れ、研究者約30人が被曝する事故が起きた。 漏れた放射性物質の量はわずかで、被曝量も、健康への影響は考えられない低水…

ミャンマー訪問 経済支援で日本の存在感を

民主化と経済改革を進めるミャンマーに対し、日本が大型支援を表明した。アジアの新市場を開拓する布石でもある。 安倍首相がミャンマーを訪問し、テイン・セイン大統領と会談した。日本の首相としては、1977年の福田首相以来36年ぶりの歴史的訪問だ。…

行政不服審査 公平性の確保へ法改正を急げ

納得できない行政処分に見直しを求めるのは国民の権利である。その権利を迅速で簡便に救済する制度を、より使いやすくする一歩としたい。 政府が行政不服審査法の見直し作業を開始した。1962年の法制定以来初の抜本改正で、来年の国会への改正案提出を目…

TPP交渉 攻守にらんだ戦略で巻き返せ

出遅れていた日本が、いよいよ約2か月後に環太平洋経済連携協定(TPP)交渉のテーブルに着く見通しになった。 政府は、交渉体制を強化し、アジア・太平洋地域での新たな貿易ルール作りで巻き返しを図ることが求められよう。 米国など11か国がペルーで…

新型ロケット 国際価格競争に勝てる開発を

世界で活気づく新型ロケット開発に日本も後れを取ってはならない。 国の宇宙政策を決める内閣府宇宙政策委員会の専門部会が、次世代の大型ロケット開発を来年度から本格化させる方針をまとめた。 目標は、低コストで使いやすいロケットを開発することだ。 現…

共通番号法成立 公正な社会保障へ大きな一歩

◆情報漏えい対策に万全を期せ◆ 公正で効率的な課税や社会保障給付を行う重要な基盤が、ようやく整うことになった。 国民に周知徹底し、利便性の向上に役立てることが肝要だ。 全国民に番号を割り振る共通番号制度関連法(マイナンバー法)が参院本会議で、自…