W杯出場決定 いざブラジルへ高まる期待

 5大会連続でのワールドカップ(W杯)出場を喜びたい。

 1年後の大舞台で選手たちは、どのようなプレーを見せてくれるのか。今から楽しみだ。

 サッカーの2014年W杯ブラジル大会アジア最終予選で、日本はオーストラリアと引き分け、本大会出場の切符を手にした。

 国内で行われた試合でW杯出場を決めたのは、今回が初めてだ。埼玉スタジアムを埋めた6万人以上のサポーターと選手は、喜びを分かち合った。ホームゲームならではの感動的な光景だった。

 日本代表がW杯初出場を果たしたのは、1998年のフランス大会だ。日本サッカー界の長年の悲願だった。

 以来、開催国として予選が免除された2002年の日韓大会を除き、06年ドイツ大会、10年南アフリカ大会、そして、今回もアジア予選を見事に勝ち上がった。

 日本代表は、アジアの中でトップクラスの実力を維持し続けているということだ。選手層に厚みが増し、世代交代が比較的、順調に進んだ結果でもあるだろう。

 日本のサッカーが躍進する土台となったのは、今年で発足20年を迎えたJリーグだ。華やかながらも、競争の激しいプロリーグで、選手たちは生き残りをかけ、しのぎを削ってきた。

 Jリーグで実績を残した選手は、海外のクラブに移籍するようになった。より高いレベルの技を要求される中で、選手はもまれ、さらに力を付ける。こうした流れが、日本サッカー全体の底上げにつながったと言える。

 現在の代表チームを見ても、海外組が多数を占める。中でも、本田圭佑長谷部誠長友佑都選手ら、前回W杯でベスト16入りの原動力となったメンバーが、今回もチームを引っ張っている。

 豪州戦で同点のPKを決めた本田選手の精神力は見事だった。

 前回は代表メンバーから漏れた香川真司選手は今や、日本代表の中核にまで成長した。

 女子の日本代表(なでしこジャパン)は2年前にW杯を制した。国中が沸き立ったあの快挙は、男子選手にとっても大きな刺激となったはずだ。

 日本代表の守備力、組織力は、前回W杯でも十分に通用した。課題はやはり、得点力だろう。本大会までに、チャンスを逃さずものにする力を蓄えてほしい。

 選手一人一人が、自らの役割を確実に果たせば、W杯で初のベスト8入りが見えてくる。