南スーダン支援 地元連携で効果的なPKOに

 地元の住民と緊密に連携し、国連平和維持活動(PKO)の効果を高める戦略が重要である。

 政府が、国連南スーダン派遣団(UNMISS)に参加している陸上自衛隊の施設部隊の活動地域を拡大することを決定した。

 陸自部隊の約330人は昨年1月以降、中央エクアトリア州にある首都ジュバで道路や空港を整備している。バングラデシュ軍が近く東・西エクアトリア州から撤退した後、両州でも活動する。

 陸自は中東・ゴラン高原とハイチから撤収し、現在は南スーダンが唯一のPKOだ。今後の成長が期待されるアフリカでの日本の存在感を高め、関係を強化するうえで、活動地域の拡大は妥当だ。

 南スーダンには中国、韓国、インドも施設部隊を派遣している。3か国が活動する北部の州は、反政府勢力の活動が活発だ。4月にPKOの車両が襲撃され、インド兵5人を含む12人が死亡した。

 日本が活動する南部3州は、治安が比較的安定している。だが、反政府勢力の動向の情報収集に努めるなど、部隊の安全確保に引き続き注意する必要がある。

 南スーダンは2011年7月に独立し、国造りはまだ進んでいない。5〜10月は激しい雨期で、道路が各地で寸断される。経済開発の基盤となる国内の交通網整備に陸自が貢献する意義は大きい。

 陸自の施設部隊は、カンボジア東ティモールなどのPKOで実績を上げており、得意分野だ。道路に勾配をつけ、雨量に応じて側溝幅を調節するなど、きめ細かで堅実な仕事ぶりには定評がある。

 大切なのは、現地住民と対話を重ね、ニーズを正確に把握し、支援の効果を高めることだ。

 陸自は今年2月、ジュバ市内で1・7キロの生活道路の整備を始めた。住民の要望を積極的に聞き取り、国連に提案した事業で、政府開発援助(ODA)の草の根無償資金協力約8400万円を活用し、資材を調達している。

 イラク復興支援でも、地元と連携した活動は高く評価された。こうした支援を拡充したい。

 外務省も、小規模な無償支援に限らず、施設整備など、より大型の援助を陸自の活動と連動させ、ODAとPKOの相乗効果を高めることに知恵を絞るべきだ。

 陸自は、UNMISS司令部に情報幕僚など3人の3佐を派遣している。日本がPKO分野で発言力を強めるには、より高位の自衛官を派遣し、幹部ポストを確保することが課題となろう。