米大統領選第3回討論会、オバマ氏攻勢 中東問題を中心に議論白熱

(CNN) 米大統領選に向けた第3回テレビ討論会では、民主党オバマ大統領が現職の強みを発揮して攻勢に出たのに対し、共和党ロムニー氏はオバマ政権の対応を肯定する場面が見られ、防御的な姿勢が目立った。

今回の討論会は外交・安全保障をテーマに、フロリダ州ボカラトンで90分間にわたって行われた。

司会のボブ・シェーファー氏は、中東情勢や世界における米国の役割、中国の台頭などについて両候補に質問を投げかけた。オバマ氏は、軍最高司令官を兼ねる大統領としての経験に基づいて過去4年間の実績を強調。ロムニー氏はオバマ政権の対シリア、対イラン政策に「正しい方向だ」と支持を表明したうえで、さらに強化すべきだと主張した。

ロムニー氏は国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディンを殺害したオバマ政権の作戦を称賛したが、一方でこうした殺害により「混迷する現状から抜け出せるわけではない」と警告。「イスラム世界が自ら過激主義を拒否するよう促す包括的な戦略が必要だ」と述べた。ただ、独自の具体策を提案するには至らなかった。「対イラン軍事介入は最後の手段」としたオバマ氏に同意するなど、共和党内でも穏健派寄りの立場を鮮明にした。

ロムニー氏はまた、米国が世界でリーダーシップを発揮するには経済的な強さが不可欠だと主張し、議論を得意の経済分野に引き込もうとする動きを見せた。

一方、オバマ氏は大統領として市民らの声に耳を傾け、最良の決断を下してきたと、実例を交えて語った。ロムニー氏の過去の主張を取り上げ、知識不足や矛盾を攻撃する発言も目立った。守勢に立たされたロムニー氏が「私を攻撃することが主題ではないはずだ」と返す場面もあった。

米自動車業界の救済策をめぐり、ロムニー氏がどのような立場を取ったかで両候補が激しく言い合う一幕もみられたが、討論は全体として紳士的な雰囲気で進められた。

オバマ氏は第1回討論会で「精彩を欠いた」との批判を受け、第2回では攻勢に出て巻き返しを図った。今回も引き続き攻めの姿勢を示したが、現在ほぼ互角とされる支持率がこれを受けてどう変動するかが注目される。