本を読むことによって得られる知識

書物は、価値そのものではなく価値の代替物であるという点で、貨幣に似ている。書物それ自体としての用途は積み重ねて踏み台にすること、棚に並べて家具とすること、一ページずつ読みながら洟をかむこと、昼寝の枕、チリ紙交換、押し花をつくるためのプレッサー、女子大生のアクセサリーなどに譬えられる。書物を読むことによって価値が増える。それは、体験を理念に変え、自分自身であることを自分自身であろうとすることに変える力を持っている。書物は、それ自体では、欠落だらけの真実を補完し、いつのまにか私たちの幻想による別の真実を多くもたらしてくれる。